肉離れ

【肉離れの原因】

肉離れは、筋肉に「伸びる」と「縮む」が同時に起こった際に筋肉が断裂して痛みや腫れを生じる症状です。

主に、太ももの裏や前面、ふくらはぎに生じやすく、サッカー選手の場合であれば太ももの内側が多いなど、どの部分の筋肉を使うかによって生じる場所にも違いが出てきます。

肉離れは筋肉の柔軟性が失われてしまうことが大きな要因となります。筋肉が固くなる原因としては、運動不足はもちろん、水分不足や冷えも要因となります。

人間の身体の約60%は水でできていると言われるほど、身体の半分以上を水が占めています。

また、体内の水が不足すると血中濃度が上がり、血液の循環が悪くなってやがて冷え性を引き起こし、筋肉の柔軟性が損なわれてしまいます。

【痛みの種類でわかる肉離れ重症度】

肉離れの症状は大きく分けて「伸ばすと痛む」「力をいれたときに痛む」「押すと痛む」の3つに分類されます。

押したときの痛みはこの3つのなかでも一番最後まで残りやすとも言われています。押しても痛みを感じなくなったら「運動を再開しても大丈夫」というサインと言えます。

また、肉離れの多くは見た目上これとって目立った外傷はありませんが、ときに腫れや内出血を起こすケースもあります。

医学的には肉離れの重症度を、Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度と分類します。Ⅰ度は軽い損傷、Ⅱ度は部分断裂、Ⅲ度は完全断裂という判断になります。

重症の肉離れともなると安静にしているときであっても激しい痛みを感じ、なかには筋肉を断裂していることもあります。必ず当院や最寄りの医療機関での診察を受けましょう。

【肉離れには『RICE処置』】

肉離れを生じた際にはまずは『RICE処置』と言う基本の応急処置を行い、悪化を防ぎます。

そして徐々に痛みが落ち着いてきたら、ストレッチや軽い運動からリハビリを開始していくことが一般的な方法です。

①Rest(安静)

患部の腫れや血管と神経の損傷を防ぐために「安静」にします。
痛みを確かめようと患部を押したりむやみに触れることはやめましょう。

②Icing(冷やす)

炎症を沈めるために冷やします。冷却グッズがなければ、ビニール袋に氷と水を入れて代用します。

凍傷になる恐れがあるため、直接肌には当てず、タオルを一枚挟むなどして行いましょう。
15分から20分ほど冷やしたら一度やめて、痛みが出てきたタイミングで再び冷やすを繰り返します。

3日経っても痛みが引かない場合は骨折も考えられるため、医療機関で診察を受けるようにしましょう。

③Compression(圧迫)

テーピングや弾性包帯を使って患部に圧をかけて内出血による腫れの広がりを防ぎます。強く圧迫してしまうと、患部の腫れがひどくなった際にうっ血してしまう危険もあるため、指先の色が変色してこないこと、しびれなど感覚の異常が出ないことに注意して行いましょう。異常を感じたらすぐに圧迫を緩めてください。

④Elevation(挙上)

腫れを軽減させる目的で、患部を心臓よりも高い位置に挙げてそのまま安静にします。

患部への血流を緩やかにし、症状の悪化を防ぐことができます。

患部に負担がかからないように、クッションなどを使ってその上に足や腕を乗せると良いでしょう。

【肉離れは軽く見てはダメ!】

肉離れを起こした後は再発を防止するため、まずは軽いストレッチから再開しましょう。

痛みを感じないようであれば軽いウォーキングなど徐々に身体を慣らしていきます。回復を急ぐがあまり、走る、ジャンプするなど筋肉に負担のかかる激しい運動は再発のリスクを高めてしまいます。

痛みを感じながらの運動は、患部の筋肉を固くしてしまい、柔軟性が失われるとともに、筋力の低下も伴うことがあるからです。
肉離れ癖を付けないためにも、時間をかけて身体をもとに戻していくイメージを大切にしながらリハビリしていくことが大切です。

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